メキシコでOL、27歳

メキシコ北部モンテレイ市での日系企業現地採用社のメキシコ生活ブログ。食事処、買い物や遊び、生活情報など。メキシコ人を理解するための考察もします。国内旅行も時々。

day 1020: 小さな世界の大きな国。【アロセナ美術館】

自称北メキシコのキャンペーンガールな私は

普段ぱっとしないからって除け者にされがちな

北の荒野もいかに面白い場所かを

お伝えせずにはいられない。


何度も行っている割にいつも時間が取れず

実は町自体はあまり知らない

荒野の中継都市コアウイラ州はトレオン。 

今回はまだ日が出てる時間に到着できたので

お夕飯探しも兼ねて旧市街の中心

アルマス広場plaza de Armasへ向かう。

町自体が成立してからまだ百数十年と

比較的新しい都市にも関わらず

当時からの建物が大抵残っているので、

新築とコロニアル様式を継承した建物とが

みっしりと店々が肩を寄せる狭い通りに

入り乱れて並んでいる様は奇妙で可愛い。

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そんな広場の周りをうろうろしていたら

アーティスティックな牛を発見。

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モンテレイでみると肉牛に見えるのに

トレオン以北では乳牛に見える不思議。

その向かいには何だか見覚えのある建物。

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調べれば街で一番大きな美術館

アロセナ美術館Museo Arocenaだと。

前から行ってみたかった場所じゃあないの。

月曜休館の火、水、金〜日曜は18時まで、

訪れた木曜日は20時までの開館とのことで

これはラッキーと訪れてみる。

入り口は有名な赤い建物ではなく

広場に面した大通りにある白い建物の

大きな自動ドア。少しわかりにくい。

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入館料は大人30ペソ、学生までは10ペソ。

3月から水、日曜日は入場無料の太っ腹ぶり。


1910年建造の旧カジノに作られたこの美術館、

エントランスに踏み入れるとその高い天井と

床の光沢、清潔な空間に静寂さで、

外界のごちゃごちゃから隔絶された優雅な空間。

3階建ての広い建物の展示品の大部分がアロセナ家の人々がここ100年で集めた収集品。

この一家は150年近く前に

スペインはバスク地方から移住以来

アメリカから持ち込んだ綿生産で

隣接するモンテモレロ市を押し上げ

ニューヨークの綿相場に影響するほどに

一大産地として育てるなど、

トレオン一帯の産業の振興に一役買ってる

地元の名家なのだと

入って左側にある券売所でお話を伺った後

いざ尋常に美術鑑賞。


3階は歴史上の人物に関する展示。

割とメキシコの有名どころが揃っていたので

子連れのお母さん方がちらほら。

子供達も写真が多いからか楽しそうに見ていて

小さい頃からの遊び場の一つに

文化的な場所があるってとてもいいなと思う。


2階は旧スペイン領国の美術品。

布教の時代なので主に宗教画。

貴族の肖像画もちらほら。

スペイン在住時に慣れ親しんだような

キンキラキンの絵画や祭壇飾り、

絹のような質感の肌の人々。

久々にヨーロッパの風を感じる。

デューラーを元にした作品があって嬉しい。

目を引いたのは初めて見る妖精のいる宗教画。

天使はよく見るけれどこんな小さいのは初めて。

可愛らしさに思わずぱちり。

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それからグアテマラ磔刑画は

エスが黒人の現地仕様。

人々の心を掴むための企業努力の痕跡。

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メキシコの黒いマリアと同じね。

もちろん彼女の作品もたくさんあった。

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焼き物は陶磁器とメキシコ独特のトナラ焼きや

タラベラ焼きの風味がどことなく混じっていて、

その噛み合わせの悪い感じが可愛く見えた。


最後に回った1階は期間展示で

いろいろな美術館からの作品が並ぶ。

Territorios de la Memoria

記憶の土地

と題されたそれは、

メキシコ人作家によるメキシコが題材の展示。


もともとメキシコの絵画は線が太く強く、

色もはっきりしていて主張が強く

インパクトがあるなと思っていたけれど、

ここの作品たちはそんなもんじゃなかった。

伝わってくる強い主張が重く悲惨すぎて

4.5作品見たところで具合が悪くなってきた程。

中々見るのが大変なコレクション。

全体的に暗く、おどろおどろしくて、

重い。とにかく重い。

メキシコの抱えてるものが重い。

1985〜2019年制作の作品のみとのことで、

現代メキシコ人がいかに現状を嘆いているか、

国を素直に愛せない悲痛さが浮かび上がる。

彼らの作品に映し出されている国が

素敵なものではないのが悲しい。

生々しい生。

溢れる死と暴力と悪意とで

見ていて楽しい展示じゃあなかった。

けれどとても心を打たれた。


17世期末から18世紀初めにかけて描かれた

メキシコ征服とメキシコシティの光景を

現代訳した作品が一番悲惨だなと思ったな。

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大きな屏風のどこを見渡しても死体。


いい意味で興奮したのはこの作品。

タッチがとてもメキシコチックなのも好きだし

なによりゴヤ大好きな私は

裸のマハを見つけて飛び上がった。

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帰りがけにどうしても

この展示の解説が欲しいと思い

お土産屋さんのおばちゃんに聞けば、

150ペソ分のお土産購入でおまけであげるよ

と言われたのでコースターとポストカードを。

ぴったり150ペソを払い、

絶対にそれ以上の価値のある

ずしりと重い解説本を抱えてほくほく顔で帰宿。


美術館でヘトヘトに疲れてしまったし

アジア人が珍しいからか道行く先々で

話しかけられ通しでくたびれたので

夕食は無残にもuber eats。

今日はもうスプライトを飲んで寝る。

美味しいものは明日に持ち越しです。